いつの時代も動物園は差別と搾取と儲けが基盤であり、表面上は自ら善良なイメージを作り上げ、着飾ります。 その闇に光を当てることが、真に動物のためを思うことなのではないでしょうか。
人間動物園は人類の成長と共に無くなりました。次は動物園の番です。
【動物園の歴史:世界】
1. レクリエーション=権力者の動物園 時代(5000年前)
目的:富と権力の誇示、所有欲、好奇心
戦利品や貢ぎ物
約5000年前~4300年前 古代エジプトとメソポタミアの王が動物園を作った。
3500年前 古代エジプト ヒエラコリンポス
2009年 最古の動物園コレクションが発掘される
遺跡から、ヒヒ、牛、猫、犬、猿、ゾウの骨が見つかっている。
キリンを引いている壁画も見つかっている。
キリンは中央~南アフリカにいる
熊にリードを付けている壁画。アフリカには、熊とオオカミと鹿はいない
3100年前 アッシリア帝国 アシュール・ベル・カラ王が動物園と植物園を創設
2800年前 古代ギリシャ 貴族たちによって動物園的なものが開かれていた ※年はポリスの発生時期とした
2750年前 ローマ 貴族たちによって動物園的なものが開かれていた
2200年前 中国の皇后タンキが「鹿の家」を創設。
周王は凌陽と呼ばれる6.1平方Kmの動物園と動物に関する教育機関があった痕跡が見つかっている
紀元前 その他動物収集家
ソロモン王、ネブカドネザル王
300 ギリシャの都市の大部分に動物園が存在していた
1068以降 英 ヘンリー三世(1068-1135)がライオン、ヒョウ、ラクダなどをコレクションしていた。
1204 ジョン一世がロンドンの塔という動物園を創設
1207以降 ヘンリー三世(1207-1272)がライオンタワーという動物園を創設
1466 アステカ帝国 皇帝モテツマが動物を収集。600人以上の従業員がいた。
1752 オーストリア ウィーン シェーンブルン動物園
マリア・テレジアの夫、フランツ一世がコレクション
メナジェリー時代(1765~)
目的:見世物、娯楽
市民に開かれた動物園
1765 シェーンブルン動物園を一般公開
1773 仏 パリで国立自然史博物館付属植物園ジャルダン・デ・プラントの一角にメナジュリーとよばれる動物飼育展示施設が公開
1775 スペイン マドリードで動物園開設
1795 仏 パリ動物園開設
1806 ロシア カザン動物園開設
1826 ロンドン動物園協会(スタンフォード・ラッフルズ)
③2.研究・調査=Zoology時代(1828~)
学術機能のある動物園
動物学(Zoological)が語源
研究のために収集し公開した
ヨーロッパに動物園が広がる
1828 英 ロンドン動物園開設(場所はリージェントパーク。世界で初めて科学動物園。公開は1847)
1831 ダブリン動物園開設
1838 アムステルダム動物園開設
1844 ベルリン動物園開設
1853 英ロンドン動物園に世界初の水族館(説2)「フィッシュ・ハウス」開設
1860 オーストラリア メルボルン動物園開設
1860 米ニューヨークのセントラル・パーク内に小動物園が開設
1874 米フィラデルフィア動物園開設。米の本格的な動物園として最初のもの
1882 上野動物園開設(この後官営動物園が作られていく)
1909年 ハーゲンベック動物園
ハーゲンベック式=無柵放養式展示(柵ではなく堀で仕切る展示方法)を開発
ドイツ人動物商 カール・ハーゲンベック(1844~)
動物園業界では有名
野生動物を、動物園やサーカスに売っていた
移動動物園を行ない、ヨーロッパ、アメリカで大成功
ハーゲンベック動物園は今も盛況。日本からも視察。
人間動物園(Human Zoo)も行なった
黒人、アジア人、非差別白人
博覧会で展示、動物園の猿の檻の横に展示
1500~1900年代つい最近
植民地主義/人種差別/進化論に基づく
”民俗学的展示”を行ない、大成功
精神障害者、身体障害者、奇形
儲かった
1906 ニューヨーク ブロンクス動物園 コンゴのピグミー族が、チンパンジー、オランウータン 、オウムと一緒にケージ内に展示されたこの展示は、オランウータンと白人の間の「ミッシングリング」の例として企画された。
1931 英 ホイップネードパーク。最初のサファリパークとしてオープン
1931 仏 パリ植民地博覧会で、人間をケージに展示
1935 WAZA設立(世界動物園水族館協会:スイス)
1946 英 スリムブリッジ水禽園(すいきんえん)開設
1958 ベルギー ブリュッセルで開催された「コンゴの村」 展で人間を展示。
1959 英 ジャージー動物園
モーリシャス・南米・マダガスカルといった、独自の進化をとげた動物相に着目。絶滅の危機にある種の繁殖を動物園で試みて、野性に返す仕事。
1966 英 ロングリートでサファリパークが誕生)
1969 デトロイト動物園が象のショーをやめる。
この頃から、種の保存にシフトし、ショーを止めていった。
3.教育・環境教育=生態展示の時代(1989~)
ケージからテリトリーへ
・無柵放養式展示
・行動展示(行動学的展示)
・ランドスケープ・イマージョン
1980 IUCN(国際自然保護連合)が、野生動物を含む地球の自然資源を将来に渡って保全するための世界保全攻略を発表。 「動物園や水族館は、種の保存、遺伝子の多様性の保存、環境学習の面で貢献できる」とし、「野生動物を飼育・展示するための原則と勧告」を発表。
1989 日本で「ズー2001構想」の推進が策定。
「ズーストック計画」が始まる。
環境学習の実施と希少種のズー・ストック計画が本格的に開始。
4.種の保存=バイオパーク時代(野生動物保護公園)(1990年代~)
批判を避けるため、動物園との差異化を図るためこの用語を使用している施設や団体ができている
1992 地球サミットで採択されたアジェンダ21で、動物園は、野生生物の生息地外での保全を行ない、人々に対して啓発もできる施設として期待されている。
1993 IUCN、WAZAが世界動物園保全戦略策定。種の保存を取り入れる。
(2017年 Animal Liberation Lab作成)
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〈参考文献(一部)〉
Karen Polinger Foster(1999)『原題名 The Earliest Zoos and Gardens』再録:別冊日経サイエンス210「古代文明の輝き」(2015)
『EGYPT PICTURES: Ancient Animal Graves From Private Zoo?』ナショナルジオグラフィック(2009年7月14日)
Kotobank
https://kotobank.jp/word/%E5%8B%95%E7%89%A9%E5%9C%92-104096