牛の親子

全体像

すべての動物利用は女性搾取から始まる:動物の女性が置かれている状況と問題

  • 2024/11/30

全ての動物利用は、動物の女性から始まります。動物の女性に子供を産ませることで、人間が利用できる ”商品” が手に入るからです。例えば、肉を手に入れるためには、牛や豚や鶏の女性に子供を産ませます。牛乳を手に入れるためには、乳牛の女性に子供を産ませます。

動物利用は、女性の搾取・権利侵害を欠かせない基盤としています。私たちが食べる肉や卵、身につける革製品やウールは、女性の搾取・権利侵害をしないと手に入れることはできません。

この記事では、まるで無かったことにされている、動物の女性の苦しみや殺害、搾取や権利侵害にフォーカスして学んでいきます。

動物の女性について

動物は、哺乳類から昆虫類や海綿まで様々な種がいます。この記事では意識や感覚・感情があるとわかっている脊椎動物から一部の軟体類までを取り上げます。また、人間以外の動物を、動物と記述します。

動物の女性は、基本的には子供を産み、子育てをします。子供が育つと子離れをします。そして、やがて子供が子供を産み、命が紡がれていきます。母が子供を大切に育て、可愛がり、守ろうとする姿は、人間にも動物にも見られます。(* 但しそうではない場合もあります。例えば、育児放棄、虐待、子殺しなどです。これらは人間にも見られます。これらの行動は社会生物学などによって説明されます。)

脊椎動物と一部の無脊椎動物には、意識があることが分かっています。すなわち、意思・知性・記憶・感覚・感情などを持っているということです。

動物の母と子供の愛らしい姿や、子供を守ろうとする姿を見てみましょう。

母の愛

母の愛に勝るものはない

子供を人間に紹介するねずみ

赤ちゃんをワニから守る母

人間の女性が子供に感じる感情が「愛」であるとしたら、動物の女性が子供に感じる感情も「愛」と言えるでしょう。

動物の女性が受けている被害

妊娠ストールの中の母豚と子どもたち

動物搾取の流れ

動物搾取の流れは大きく2つです。

「入口→利用→出口」と「入口→出口→利用」。

入口は、すべて女性の出産

出口は、殺害または死亡です。

「入口→利用→出口」は、動物が生きている間に利用します。乳牛、鶏卵、動物実験・動物娯楽利用産業(ペット・動物園水族館等)等です。

「入口→出口→利用」は、動物を殺した後、死体を利用します。食(肉・魚・軟体動物等)・服飾(服・靴・カバン等)等です。

つまり、すべての動物利用・搾取は、女性の搾取から始まります。女性の身体機能、心、尊厳、権利の侵害から始まり、また、基盤です。女性の搾取をしないと成り立たない産業です。

交差性

動物の女性たちは、様々な交差性の中にいます。

交差性(インターセクショナリティー)とは、「人種、階級、ジェンダー、セクシュアリティ、国籍、世代、アビリティなどのカテゴリーがそれぞれ別個にではなく、相互に関係し、人びとの経験を形づくっていることを示す概念=分析枠組み」(東京大学

交差性を動物に当てはめると、動物の女性たちは、種差別、性的搾取(人工授精、獣姦等)、妊娠の強制、暴力、売買、強制労働、そして、動物種ごと特有の差別(例えば、乳牛に特徴的な搾取、ことわざ等)等、様々な苛烈な差別の交差点を生きています。

動物の女性に、人間の概念を当てはめることや、権利を与えること自体がおかしいという考え方や価値観が主流です。動物の女性は尊厳や権利の主体に値しない、という考え方に根拠はありません。それ自体が無意識化された差別なのです。

動物の女性たちへの被害

人工授精

”家畜” 動物と呼ばれる動物たちの多くは、人工授精をされています。人間から強制的に、会ったこともない男性の精子を体内に入れられ、子供を産まされます。女性の尊厳を貶める行為であり、極めて非倫理的です。ただし、現在の日本ではそうは思われていないようです。以前、人工授精を問題視する投稿をしたところ、人間の女性が「(動物が人工授精されるとき)気持ち良がってるかもしれないじゃんwww」という書き込みをしました。今でも覚えているコメントです。

人工授精を行っている動画は、Youtubeにたくさんありますので、ご参照ください。

犬、猫等、伴侶動物の別れ

可愛いペットたちですが、多くの場合、母と子は引き離されます。身体的虐待は大きく取り上げられますが、母や子供の心に対する虐待や配慮は、問題としてあまり取り上げられることはありません。

ペット産業や、ペット産業から動物を購入する方は、母の子供に対する愛を引き裂いて、人間に繋ぎ直しています。母は子供と二度と会うことはありません。”飼い主”が自分のことを親に見立てる行為は、一見、ほのぼのしていますが、動物の母や子は全く異なる体験をしているでしょう。あなたが、まだ幼い子供と突然引き離され、その子供を買った誰かが自分のことをパパやママと呼ばせているとしたら。

ですので、保護活動をしている方々の中には、可能な限り母子や兄弟を一緒に引き取ってくれる人を探す人もいます。

この映像は、陽気な音楽が流れ、レトリーバーが子供を守っている姿がかわいい、といった文脈で捉えられています。しかし、子供は1頭しか見当たりません。レトリーバーは通常5〜10頭の子供を産みます。もしこのレトリーバーが、人間に子供を取られており、残る子供がこの子だけだとしたら。

家畜動物の別れ

”家畜” 動物の母親たちも、一生のうちに何度も子供と引き離されます。

牛の母親は、愛情深いことで知られています。引き離される時、母は子を追いかけます。追いかけられない時は、子供を探して鳴き続け、悲しみのあまり死んでしまう女性もいるそうです。

車を追いかける

母の愛

日々の別れ

母豚と子豚の扱い

雨から子供を守るにわとり

”家畜” 動物の母と子は、”すべて” 引き離され、”必ず” 子供達は殺されます。母親たちも “

必ず” 殺されます。その数、世界で、少なくとも731億6279万4213頭(牛・鶏・豚・羊のみ)。これだけの別れや苦しみの上に、人間の肉食が成り立っています。牛乳、卵、動物性衣料品もです。
《参照》世界の動物の屠殺統計とチャート:2022年アップデート(リブが翻訳した記事です。)

搾乳

私たちが消費する牛乳やチーズなどの乳製品のために、牛の女性は毎日20〜30Lもの乳を絞られ続けています。そして、乳の出が悪くなってきたら、「廃用牛」と呼ばれ、屠殺され、安い肉として売り出されます。

動物の女性の権利

人権・女性の権利

1948年、国連が世界人権宣言を行いました。婦人参政権条約を発効したのは1954年。女性差別撤廃条約を発効したのは1981年。人類が女性の差別の撤廃に同意したのは、つい最近です。

今では当たり前のように主張する人権ですが、これは当たり前ではありません。長い歴史をかけて、血を流して勝ち取ってきたものです。状況が変わればあっという間に失うものでもあります。世界中に人権が守られていない人たちがたくさんいます。奴隷、人身売買、強制結婚、男子の出産の強要。生存の自由、職業選択の自由、最低限度の生活を奪われる人もたくさんいます。

私たちは権利を失わないように、権力を監視し、主張し、闘っています。もしあなたが意識していなくても、表に裏に闘っている人たちがいます。そのおかげで、権利を享受できます。

私たちの権利意識は未熟であり、発展の途上なのです。

では権利が無い状態とはどういう状態でしょうか。「あなたが動物になったら起こること」、それが権利が無い状態です。

家畜動物たちの現状

肉牛  https://animal-liberator.net/issue/cattle-farming/

乳牛  https://animal-liberator.net/issue/dairy-cows/

豚   https://animal-liberator.net/issue/pigs/

肉養鶏 https://animal-liberator.net/issue/chicken-farming/

採卵鶏 https://animal-liberator.net/issue/egg-farming/

動物実験 https://animal-liberator.net/issue/animal-experimentation/

動物の権利・動物の女性の権利

動物の権利はまだ認められていません。しかし、かつては物、無機物と同様の扱いでしたが、徐々に感覚や感情のある生物であると認められつつあります。

動物の権利、動物の女性の権利を認めることは、消費者、動物産業、社会に極めて大きなインパクトをもたらします。

動物の女性の権利を認めることは、人間が現在享受している利益を失うことです。

消費者は、肉や卵、牛乳や魚食を味わうこと、皮革製品やウール製品を着るという快楽を失います。

動物産業は、巨大な利権を失います。

社会は、就職先や天下り先や票田を失います。

現在の人間にこれは耐えられないでしょう。ゆえに、消費者は、動物を守ろうとする人々に対してバッシングをし、動物産業は「感謝」や「いただきます」や笑顔の動物のイラストなどを使ってプロパガンダを行い、社会は法律を使って動物の権利運動を抑え込みます。誰もが、自分たちが動物や動物の女性に対して行っていることに目を向けたくありませんし、向けさせたくありません。いわば社会全体による共犯関係が成り立っています。

しかし これで良いのでしょうか。感謝すれば何をしても許されるのでしょうか。社会全体で、弱者の想像を絶する痛みや苦しみや悲しみを無視し、無かったことにし、権利侵害して良いのでしょうか。

良いはずがありません。私たちは弱者の痛みに気づき、目覚め、間違いを正し、社会を変えてきました。

いつの日か、必ず、動物の権利を認める日がきます。権利を認める対象とは思いもしなかった存在に権利を認めることで、私たちの社会や意識は進化してきました。それは歴史の流れです。

あなたにできること

  • 動物の女性たちの苦しみや差別にも目を向け、意識する。
  • 意識することで、食べ物や、社会の見え方が変わってきます。それは、弱者に優しい社会、誰にとっても優しい社会を作ることに繋がります。
  • 動物が犠牲になっている動物性食品や動物性製品を、買わない、食べない。
  • 動物が犠牲になっている娯楽やペットショップにお金を払わない。
  • そのことで、動物の女性や子供の苦しみや悲しみを確実に減らすことができます。
  • 動物に起きている問題、動物の素晴らしさ、保護の重要性などについて周りに伝え、動物に関心を持つ人、動物を守る人を増やす→リーフレット無償提供中
  • 動物産業や政治家や行政、マスメディアに意見を伝える。動物を守りたい、傷つけてほしく無いという強い希望、ニーズを持っている人たちがいるということを知ってもらうことは、今は届きにくいかもしれませんが、未来につながる重要な行動です
  • ヴィーガンになる。ヴィーガンになることで、サメはもちろん、すべての動物を守ることができます。ヴィーガンはたった一人でできる、動物保護、動物権利、動物解放、環境保護活動です。
  • 動物解放団体リブを支援し、動物を守る活動を推進する

動物を解放しよう。

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