娯楽に使われている動物

鴨川シーワールドで起きているシャチのショーの問題点【調査報告】

  • 2018/07/31
  • 2024/01/31

この記事は動物解放団体リブによる、動物目線で動物園や水族館がどのような状況なのかを調べた「日本一周!動物園水族館調査」のレポート記事のうちの一つです。

千葉県にある鴨川シーワールドは、シャチ、イルカ、アシカ、ベルーガによるショーを見どころにしている施設です。

特筆すべきは、シャチがいること。

日本でシャチを入れているのは、鴨川シーワールドと名古屋港水族館の2施設のみです。

それゆえに人気な施設となっていますが、ショーをする側の動物たちの心の病をご存知でしょうか?

今回は、鴨川シーワールドの調査報告をいたします。

シャチについて

「海の王者」と呼ばれ、海の生態系の頂点にいるシャチ。

非常に知能が高いことで知られています。

シャチは社会的な動物で、ポッドと呼ばれる家族単位の集団で生活します。ポッドは非常に結束力が強く、複雑な社会構造を持っています。

複雑な音や身振りを使ったコミュニケーションを行っており、独自の方言も持っています。

また、シャチは他のシャチから狩りの技術を学ぶなどの学習能力があり、狩りのための戦略を練って連携して行動することができます。(動画:シャチの驚くべき狩り

海から連れてこられたシャチ

本来シャチは、広い海で家族や親戚と共に過ごしています。

人間目線では、シャチが水族館にいることは当たり前に思えるかもしれませんが、シャチからすると異常な空間であり、不自然であるということです。

現在日本にいる7名のシャチは、全員血が繋がっています。(関連記事:日本で監禁されてきたシャチの一覧

7名の内、一番年上である「ステラ」はアイスランド沖で捕らえられました。(関連記事:太地町イルカ漁の手順

シャチの仲間であるイルカは20年前の出来事も覚えているほどの記憶力を持っていることが分かっています。

ですので、家族と過ごした広い海のことも覚えているのです。

鴨川シーワールドは目の前に海があります。しかし、シャチたちは二度とその海に帰ることはできません。

彼らはどういう気持ちで、海を見つめるのでしょうか。

シャチがショーをする理由

シャチショーでは、シャチはジャンプをしたり、頭に飼育員を乗せて泳いだり、水しぶきをあげるように水面に体を打ち付けたりします。

では、そもそもシャチがショーをするのはなぜでしょうか?

楽しいからでしょうか。

答えは、飼育員の命令に従わなければ、ご飯を食べることができないからです。

つまり、生きるためです。

ショーを見ると分かりますが、芸をした後に飼育員はシャチに食べ物を与えています。

芸を教えるトレーナーたちは、シャチたちの支配者的存在です。

支配は「身体の支配」「食べ物の支配」「精神の支配」などによって行われます。

心を病んだイルカやシャチの異常行動

家族と引き離され、狭い水槽に閉じ込められ、支配されることで、異常行動を起こしているシャチやイルカが沢山います。

動物の異常行動とは、水族館等に監禁された動物たちの精神的な病の表れです。

ただ何もせずに浮かんでいる、水槽の床に頭を打ち付ける自傷行為、同じ行動を繰り返す常同行動など、観察するとよく分かります。

また、シャチやイルカも人間同様、うつ病になり自殺をする場合があります。

関連記事:【保存版】水族館の異常行動リスト(イルカ・シャチ)

種の保存=家畜化

2018年にカマイルカの子どもが産まれていました。 

水族館で赤ちゃんが生まれるというのは、おめでたい事でしょうか?

人間にとってはおめでたいことに思えるかもしれませんが、イルカにとっては、生まれながらにして人間の支配下に置かれることになります。

一生海に帰ることのできない「種の保存」、つまり家畜化といえるでしょう。

イルカの子どもが無邪気にはしゃぐほど悲しくなりました。

野生で捕獲されたイルカは、時間と共に魚の取り方を忘れ、海で生きていくための様々な能力が衰え、自然の中で生きていくことが困難になってしまいます。

そして、監禁下で生まれたイルカの子は、その能力を獲得することはないので海に解放することが非常に難しいのです。

3人の人間を殺したとされるシャチ「ティリクム」

1981年から2017年の間、アメリカのシーワールドという水族館には、ティリクムというシャチがいました。

ティリクムは、水族館に入れられて以降、3名の人を殺したシャチです。

一方、野生下のシャチが人間を殺した記録は、0です。

水族館に連れてこられ、ショーをさせられ、食事や居場所、子作りに至るまでのあらゆることを支配されたティリクムはどれほど精神を病んでいたでしょうか。

動物差別を肯定する教育

では、そもそも私達が当たり前に動物園や水族館に行くのはなぜでしょうか?

それは、現代の私たちの日常には、動物利用を肯定する、直接的・間接的な教育が浸透しているからです。

動物園は自身の役割の一つとして「教育」を掲げています。

しかし、動物園の「教育」によって育まれるのは、動物たちを尊重する考えではなく、人間以外の動物を娯楽のために利用しても良いのだ、という考えでしょう。

わざわざ直接的にそのように言わなくても、動物を檻の中に監禁していることを正常としている事それだけでも、無意識のうちに「動物を檻の中に入れてもいい」という教育になっています。

他にも、ある施設では、水槽に頭をぶつけ続けている(異常行動)イルカの水槽の脇に「イルカたちの最近のブームはガラスに体をぶつけて皆さんをビックリさせること!」という、実態とは異なる記載がしてありました。

水族館に限らず、現代の日本では生活のあらゆる場面で、直接・間接的に動物利用を肯定する考えが浸透しています。

私達が疑問を持たずに動物利用をすることは、身の回りのあらゆる場面に影響されているからなのです。

日本一周 動物園水族館調査とは?

日本の動物園・水族館は、動物たちにとって良いところなのか、悪いところなのか。

様々な意見はあるものの、当初、日本全国の施設が実際にどのような状況なのかという網羅的な調査はありませんでした。

その課題を踏まえ、2018年から2019年、述べ9ヶ月に渡って、日本全国ほぼ全ての動物園と水族館、計283施設を周る調査プロジェクト「日本一周!動物園水族館調査」を行いました。

その結果、日本中で動物たちが精神病の一種である「異常行動」をしていることが確認され、動物たちが監禁下で人知れず苦しみ続けているという実態が明らかになったのです。

私たちが目指す社会

私たちのビジョンは、人間による全ての動物に対する抑圧や搾取がない、緑豊かで平和な地球。

動物たちは解放され、自然の中で自由に生き、愛し合い、子どもを育てています。

人類は動物たちをやさしく見守っています。

このような社会を実現するため、私たちは動物利用問題の解決に努めます。

あなたにできること

日本は世界で最も水族館が多い国であり、日本全国で推計600名ものイルカを監禁しています。

今、この瞬間も苦しんでいる動物、そしてこれから苦しんでしまう動物を助けませんか?

動物を解放しよう。

<補足情報>

種類:民
所有:株式会社グランビスタ ホテル&リゾート(旧八洲観光→三井観光開発)
運営者:〃
JAZA:◯

調査日:2017年11月19日
写真:https://photos.app.goo.gl/bS3oQXlOdgLGSpDc2
動画:-

調査日:2018年6月28日
調査ページ:https://animal-liberator.net/animal-liberator/180628-84-kamosii
写真:https://photos.app.goo.gl/SCyKpFgUTGQAibDC8
動画:https://www.youtube.com/playlist?list=PLQT1RmSZIgCpFGzC8GZ1x5MNU499y3z5J

この記事を書いたライター

リブ_シンボル

動物解放団体リブ編集部

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