動物搾取を学ぶ

2013 インド|環境森林保護省 中央動物園庁「イルカを「人」と認めた」原文を入手・翻訳

  • 2018/10/11

INDIA:
インド

MINISTRY OF ENVIRONMENT & FORESTS
環境森林保護省
Central Zoo Authority
中央動物園庁

N0. 20-1/2010-CZA(M) /2840
DATE: 17.05.2013
2013年5月17日施行

Circular

回覧

Sub:- Policy on establishment of dolphinarium – Regarding.
イルカの水族館の設置に関する方針


Time and again, it has been brought to the notice of this Ministry that the State Governments through various departments,
development corporations in particular, have been planning to develop dolphinarium in the State with main aim to attract tourism for commercial purpose with the intention of organizing dolphin show etc.
本省はこれまで、商業目的の観光客を呼び込むことを主な目的としてイルカショーなどを企画する意図のもと、州政府が様々な部局、特に特定の開発公団を通じて、州内でのイルカ水族館の開発を計画してきたことについて、何度も通知してきたところである。

Whereas under Section 2(39) of Wild Life (Protection) Act, 1972 the denition of ‘zoo’ is given as an establishment, whether stationary or mobile, where captive animals are kept for exhibition to the public [and includes a circus and rescue centres but does not include an establishment of a licensed dealer in captive animals.]” and as such, the dolphinarium will fall under the denition of ‘zoo’,
1972年野生動物(保護)法第2節(39)には、「動物園」とは、固定・移動の別にかかわらず市民への展示(サーカス及びレスキューセンターを含むが、捕獲動物の有資格取扱業者の施設は含まない)のために捕獲動物を飼育する施設であると定義されており、イルカ水族館はその「動物園」の定義に該当するのだが。

Whereas as per 38H (1) of Wild Life (Protection) Act, 1972, no zoo shall be operated without being recognized by Central Zoo Authority and as per Section 38H (1A) a zoo shall not be established without obtaining prior approval of the Central Zoo Authority. Moreover, such zoo requires approval of the Hon’ble Supreme Court of India, in terms of the Order dated 20.11.2000 passed in W. P. No. 47/1998-Navin M. Raheja V/s Union of India and Ors.
1972年野生動物(保護)法第38H節(1)によって、すべての動物園は、中央動物園庁による承認なしに運営されてはならず、第38H節(1A)によって、中央動物園庁の事前承認を得ることなしに開設されてはならないのだが。加えて、かかる動物園は、W. P. No.47/1998-Navin M. Raheja v/s Union of India and Orsで通過した2000年11月20日付の命令に関してHon’ble最高裁判所の承認を必要とするのであるが。

Whereas as per Section 38H (4) of Wild Life (Protection) Act, 1972, no recognition to a zoo shall be granted unless the Central Zoo Authority is satisfied that it is for the interest of protection and conservation of wildlife,
1972年野生動物(保護)法第38H(4)によって、中央動物園庁がその動物園を野生動物の保護と保存の利益に資すると認めない限り、動物園としての承認がなされないのだが。

Whereas the Gangetic dolphin and Snubfin dolphin are listed in Schedule-I and all Cetacean species are listed in Schedule II part I of the Wild Life (Protection) Act, 1972,
ガンジスイルカとオーストラリアカワゴンドウは、1972年野生動物(保護)法のスケジュールIに列挙され、すべてのクジラ種は同法のスケジュールII第1部に列挙されているのだが。

Whereas Government of India has declared Gangetic Dolphin as its national aquatic animal with a view to protect these endangered species,
インド政府はガンジスイルカを、絶滅危惧種を保護するという観点で、国定水生動物に指定したのだが。

Whereas cetaceans in general are highly intelligent and sensitive, and various scientists who have researched dolphin behavior have suggested that the unusually high intelligence; as compared to other animals means that dolphin should be seen as “non-human persons” and as such should have their own specific rights and is morally unacceptable to keep them captive for entertainment purpose,
一般にクジラ目は知性と感覚が高度に発達しており、イルカの行動を研究する様々な研究者が、他の動物と比べて非常に稀なその知的能力の高さは「ヒト科以外の人間」としてみなされるべきであり、彼らには特別の権利を付与すべきであることから、彼らをエンターテイメントの目的で捕獲飼育することは道徳的に受け入れられないと示唆してきたのだが。

Whereas, cetaceans in general do not survive well in captivity.Confinement in captivity can seriously compromise the welfare and survival of all types of cetaceans by altering their behaviour and causing extreme distress.
一般にクジラ目は、監禁された環境では十分に生き残ることができないのだが。捕獲状態での監禁は、彼らの行動を変化させ極度のジストレスを引き起こすことによって、あらゆるタイプのクジラ目のウエルフェアと生命維持に深刻な被害を与え得る。

Therefore, in view of the foregoing, the Ministry of Environment and Forests, Government of India have decided not to allow establishment of dolpinarium in the country. The State Governments are advised to reject any such proposal for dolphinarium to any person/ persons, organizations, Government agencies, private or public enterprises that involves import, capture of cetacean species to establish for commercial entertainment, private or public exhibition and interaction purposes whatsoever.
それゆえ、これらの観点から、インド政府環境森林保護省は、インド国内のイルカ水族館の開設を許可しないことに決定したところである。州政府は、商業的エンターテイメント、私的または公的な展示と交流、その他の目的でクジラ目の輸入や捕獲を行うすべての人や人々、組織、政府団体、民間企業や公営企業に対して、イルカ水族館の計画を却下するよう助言される。

This issues with the approval of the competent authority
これは所管官庁の承認のもと発令する。


以上
〔翻訳:Hiroko Yatsu


非常に立派で尊厳のある態度です。

2013年時点で、インド、コスタリカ、ハンガリー、チリは、商業的なエンターテインメント目的でのクジラ目の動物の捕獲と輸入を廃止しました。
経済的利益の獲得や他種を利用した娯楽を放棄し、種を超えて権利を認めた、立派で尊い態度です。

それに比べて日本はどうでしょうか。
イルカやクジラを
エンターテイメントに使役し、精神病や病気に追い込み、
あるいは”害獣”として、また”文化”として、捕獲あるいは殺害し、
美辞麗句を隠れ蓑にし、享楽を楽しみ、経済的な利益を追求し、利権を保持しています。

イルカクジラの問題は、大きく4つの軸に分けられます。

1.沿岸捕鯨(追込み猟・突きん棒猟・太地町)
2.調査捕鯨(南氷洋)
3.水族館問題(動物の娯楽・利用監禁・身体的精神的虐待)
4.鯨類への水銀の蓄積による人類への健康被害

日本ではこれら全てに関して、自己利益のみを追い求める、あるいは自分には関係ないとばかりに思考停止しています。
これは立派で尊い態度と言えるでしょうか。

世界は動物に対して権利を与える方向に確実に進んでいます。
日本は動物への意識が30年遅れていると言われます。
しかし、日本でも、動物に配慮し、動物の擁護や救済に取り組み始める人々が確実に増えています。

インドでも数多くの方の尽力によって、この方針が決まるところまで来ました。
我々もいつの日かこのような立派な態度を示すことができるようになりましょう。

《参考》
【インドがイルカを「人」と認めた】
https://wired.jp/2013/06/12/dolphin-identified-human/
【イルカのハニーの物語】
https://animal-liberator.net/animal-liberator/inubozaki_honey_story

この記事を書いたライター

リブ_シンボル

動物解放団体リブ編集部

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