動物の美しい毛皮で装うことは、美や富、名声と結びついていました。
しかし、毛皮を取られる膨大な動物たちへの虐待や暴力や残虐な殺害方法が知られるにつれ、毛皮は非倫理と無知の象徴となってきています。
この記事では、毛皮産業の実態と問題をお伝えします。
毛皮の実態と問題
日本には国内に毛皮農場はありませんが、中国をはじめとしてヨーロッパ、東南アジアなど外国から輸入されています。
毛皮に利用される動物たちは非常に劣悪な環境下に置かれたり、残酷な殺され方をしており、苦しんでいます。
キツネの毛皮養殖の残酷な現実
狭くて不潔な農場
毛皮を生産するための動物たちは、ほとんどが「毛皮農場」と呼ばれる施設で育てられています。
しかし、その環境は驚くほど狭く、極めて不潔です。動物たちは小さなワイヤー製のケージに閉じ込められ、一生をその中で過ごします。このような環境では、動物たちは自由に動くことも、走り回ることも、土を掘ることもできません。自然の中で行うはずの行動を完全に奪われたかれらにとって、ケージは牢獄です。
さらに、毛皮農場では衛生管理がほとんどされていません。糞尿が積み重なるケージの下で生活するため、動物たちは病気や感染症にかかるリスクが非常に高くなります。こうした劣悪な環境は、毛皮の品質を最優先にし、動物の福祉を全く考慮しない産業の実態を物語っています。
品種改変
毛皮産業では、動物の毛並みや色合いを一定に保つために「品種改変」が行われています。これは、動物たちを人工的に交配させて特定の特性を持たせる手法で、動物たちに多大な負担を強いるものです。たとえば、ミンクやキツネは毛の密度や光沢を増すように改変されており、これが原因で彼らは通常の野生種よりも大きな体や不自然な毛質を持つようになります。
しかし、こうした改変は多くの場合、動物の健康に深刻な影響を与えます。遺伝的な異常や疾患を引き起こすだけでなく、動物の体に過剰な負担をかけるため、ストレスや苦痛が日常化します。毛皮産業は「美しさ」を追求するあまり、動物の自然な命の尊厳を平然と踏みにじっているのです。
異常行動
毛皮農場の動物たちは、極度のストレスと不自然な環境により、しばしば「異常行動」を示します。この異常行動とは、正常な生活環境では見られないような、ストレスや苦痛に起因する行動です。たとえば、同じ場所を繰り返し行ったり来たりする「常同行動」や、自分の尾を噛む「自己咬傷」などが典型的です。
これらの行動は、彼らが心身ともに追い詰められている証拠です。自然界で自由に暮らしている動物が経験する喜びや満足感とは無縁の生活を強いられ、精神的にも身体的にも健康を害しています。このような苦痛にさらされている動物たちが存在する背景には、私たち人間の「毛皮を身にまとう」という選択があるからです。
野生から捕獲される動物たち
毛皮を取られる動物たちは、狩猟者によって追い詰められ、あるいは罠で捉えられ殺されます。
毛皮目的の乱獲が世界各地で進み、規制が設けられています。日本では、ラッコやオットセイの乱獲により、1912年臘虎膃肭獣猟獲取締法(らっこおっとせいりょうかくとりしまりほう)が制定されました。
動物が狩猟者によって追い詰められる時、極度の恐怖やストレス、過度の運動により、筋肉組織や赤血球が破壊されることがあります。
罠で捕獲される時は、殺害されるまでの間、恐怖に怯えストレスを感じます。また、足に罠がかかった動物は、自ら足を噛み切ることさえあります。
屠殺
殺害は、銃殺、撲殺、刺殺、感電、二酸化炭素、溺死による窒息死などいずれも強い苦痛を伴うものです。
溺死:日本ではたぬきを殺す際、罠ごと川などに沈め、溺死させます。
感電:口と肛門に金属を押し当て、電気を流して殺害します。
撲殺:金属や木製の棍棒などで殴り殺します。一撃で死ななかった場合、動物たちはひどい苦痛を味わうことになります。
頸椎脱臼:動物の頭と尻尾を掴み、それぞれ頭方向と尻尾方向にひっぱり、頸椎を脱臼させて殺害します。小型の動物に対して行われる方法です。
生きたまま皮を剥がされる
上記の殺害方法で死ななかった動物は、生きたまま、意識がある状態で皮を剥がれることがあります。後ろ足の方向から皮を剥がれ、頭方向に無理やり剥がされていきます。皮を剥がれ、血まみれの筋組織だけの体で何とか起きあがろうとするタヌキの姿が撮影されています。
60秒で見る、中国の毛皮産業の実態
あなたにできること
- ファー(毛皮)などの動物由来の服を買わない
- ファー(毛皮)の問題を周りに伝える
- 企業に意見を伝える
- 動物利用問題についてさらに学ぶ
- ヴィーガンになる。ヴィーガンになることで、鳥はもちろん、すべての動物を守ることができます。ヴィーガンはたった一人でできる、動物保護、動物権利、動物解放、環境保護活動です。
- 動物解放団体リブを支援し、動物を守る活動を推進する
毛皮を使った服のタグには何の動物であるかが分かりずらい表現があります。括弧内に記述しますので、毛皮を買わないための参考にしてください。毛皮の表記義務は法律で定められていないため、「毛」としか書いていない場合があります。犬や猫の毛の場合もあります。
陸生哺乳類:
オオカミ、コヨーテ、犬、キツネ(フォックス、シルバーフォックス、ブルーフォックス、シャドーフォックスなど)、タヌキ(ラクーン)、アライグマ(ラクーン)
ミンク、イタチ(ウィーセル)、黒テン(セーブル)、スカンク
ヒョウ、オオヤマネコ(リンクス)、ヤマネコ(リンクスキャット)、ベンガルヤマネコ(レオパードキャット)、猫、
ウサギ(ラビット、ラパン、チンチラ)、リス、ハムスター、ヌートリア、ビーバー、カワウソ、ラッコ
子ヒツジ(ラム、カラクールラム、カルガンラム、ベビーラムなど)
海洋哺乳類:オットセイ(シール)、アザラシ(シール)
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