走る競走馬

娯楽に使われている動物

競馬に関連した社会問題

  • 2024/11/15

競馬は一見、スポーツやエンターテインメントの一環として楽しむものであるかのように見えます。しかし、その裏には公務員の天下り問題、官僚と企業の利権、政治家やメディアとの癒着といった構造的な社会問題が存在しています。また、ギャンブル依存症や暴力、八百長、さらには馬そのものに対する差別的な扱いなど、競馬業界の裏には数多くの倫理的な問題が潜んでいます。

本記事では、競馬をめぐる社会的な問題と、動物や市民に与える影響について詳しく見ていきます。

競馬・行政・政治

天下り

政府が競馬を開始し、存続させる最も大きな動機は、農林水産省を中心とする中央官僚、地方公務員の天下り先の確保でしょう。JRAやNRAの各団体や、各競馬場の運営会社はもちろん、関係する特殊法人や民間会社が天下り先となっています。

官僚の最も重要な仕事は天下り先の確保であるとも言われます。天下り先を自分の代で失うことは、インナーサークル内で最も非難されることであるとも聞きます。天下りした官僚や公務員は、関係先への就職と転職を繰り返し、給与と退職金を得ていきます。ゆえに競馬をはじめとする公営ギャンブルは、市民の破産や自殺、ギャンブル中毒、暴力行為や殺人を尻目に、官僚の利権として存続し続けています。

政府とギャンブルの関係は以下の通りです。

総務省 –  宝くじ

国土交通省 –  競艇

農林水産省 - 競馬

経済産業省 - 競輪、オートレース

文部科学省 - スポーツ振興くじ(toto)

また、直接の関係は否定されていますが、パチンコは警察利権だと言われています。

政治家と競馬産業の繋がり

自由民主党には競馬推進議員連盟、立憲民主党には競馬産業振興議員連盟があります。

また、2023年、風力発電事業を行う会社から賄賂を受け取り、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う持続化給付金を国から騙し取ったとして起訴された衆議院議員の秋本真利議員の金銭授受の目的は、競走馬を購入するためでした。秋元議員は自民党を離党していますが、議員は続けています。

メディア

メディアは明らかな犯罪以外に、競馬の問題を取り上げることはありません。競馬の中継はテレビやラジオで放送され、有名芸能人を起用した競馬のCMや広告がテレビ、新聞などあらゆるメディアに掲載されています。つまりJRAや競馬産業から、それだけのお金や情報が、メディア、広告代理店、芸能界などに流れています。つまり、競馬産業とメディアは利益共同体であり、競馬の暗部を取り上げたり、批判的な情報を流すことは利益を減らすことにつながり、利益共同体に対する裏切りとなります。

ゲーム産業も競馬や馬を取り上げ、擬人化し大きな収益を上げています。

競馬産業は、1985年に、清浄化作戦と称して、ノミ屋、コーチ屋などを追い出し、施設を清潔にし、若者を取り込むことに成功しました。一見良いようですが、若者が生産性のないギャンブルにお金を使い、あるいはのめり込み、自らを破滅させることにもつながっています。

競馬産業や騎手の不祥事・事件

八百長

競馬ではたびたび八百長が問題となります。八百長を行っている、行っていたのは、馬主、調教師、騎手などと、ヤクザ、ノミ屋など。彼らが協力して行う場合もあります。

八百長事件は数が多く、取り上げるにはきりがないので、ご興味のある方は各自調べていただければと思います。1965年山岡事件、2012年金沢競馬の故意落馬、2021年笠松競馬の関係者ぐるみの八百長などです。https://www.humantransport.org/8700/

【沖ダイブ】金沢競馬の八百長 沖静男が故意落馬(1:07〜)

実際に八百長をやっていた騎手が実態を説明しています。ご興味のある方は、Youtubeで「瀧川 八百長」で検索してください。

競馬関係者による馬券購入

一部の競馬関係者の馬券の購入は、競馬法29条で禁止されています。競馬関係者とは、​関係する政府職員、​競馬運営会社の役員・職員、騎手・調教師・助手・厩務員、騎乗依頼仲介者などです。

ただし、これら関係者の親族などは馬券を買うことができますので、家族や親戚に頼んで買ってもらうことは容易です。

暴力、ハラスメント

競馬をめぐる暴力事件やハラスメントもあります。女性職員や厩務員へのセクシャルハラスメント、騎手が他の騎手を木刀でめった打ちにしたした事件、道交法違反、厩務員が消毒用アルコールが塗られた同僚の体に火をつけ火傷せた事件(浦和競馬場)等、枚挙にいとまはありません。

また、観客が暴動を起こし、競馬場への放火を行った園田事件も有名です。

観客に起きている問題

ギャンブルをする人々の一定数は、ギャンブル依存症になることが知られています。人間関係や仕事などに問題を抱え、借金や破産に陥り、自殺や殺人に陥る人もいます。

JRAなど競馬産業は、ギャンブル依存症への啓発活動を行っています。これは、原因を生み出している人が、原因に気をつけろと注意喚起しているという行為です。例えば、詐欺を行っている人が、詐欺に気をつけろと注意喚起しているようなもので、詐欺を止めれば原因は無くなります。

極めて大きな問題は、競馬場に子供用の遊具が設置され、ぬいぐるみなどが販売されており、家族で楽しめるようなサービスを行っていることです。これは子供達にギャンブルに対するハードルを下げ、慣れさせてしまいます。将来のギャンブル依存症の候補者育成を政府が行なっているというのは極めて非倫理的であり、国民を陥れるような棄民政策とも言えるような行為です。

馬に対する差別意識

動物に対する差別を種差別(Speciesism)といいます。

多くの方は、動物を差別していることを意識していないでしょう。馬をはじめとする動物に対する差別意識は無意識の中にあり、意識化してはじめて気がつくことになります。種差別意識は言葉に現れます。

例えば、馬に対する種差別を表す言葉として、「馬鹿」「馬面」「馬の耳に念仏」「馬には乗ってみよ人には添うてみよ」「馬脚を露す」「馬耳東風」などがあります。

いずれも、馬に関する科学的知見、特に意識や、感覚、感情、知能、記憶力、そして馬特有の能力を人類が理解していなかった時代の言葉です。

馬に対する生物学的知識や動物倫理、動物の権利概念が発展することにより、馬への差別意識や、搾取を当然とする態度は、再考と変更を迫られるでしょう。

あなたにできること

  • 競馬に行かない、馬券を買わない。競馬に流れるお金が減れば、やがて犠牲となる馬の数を減らすことができます。
  • 乗馬をしない、ホースセラピーに行かない、観光牧場に行かない。馬産業に流れるお金が減れば、馬の利用を減らし、馬の犠牲を未然に防ぐことができます。
  • 動物を犠牲にしないゲームをやる。ギャンブルは自分自身や周囲へのダメージが大きいので、可能であれば、お金をかけないゲームや遊びを趣味にする。
  • 競馬や馬産業、馬に起きている問題についてさらに学ぶ
  • 競馬で起きている問題、馬の素晴らしさ、馬を利用しないことの重要性などについて周りに伝え、馬に関心を持つ人、馬を守る人を増やす→リーフレット無償提供中
  • 業界やマスメディアに意見を伝える
  • ヴィーガンになる。ヴィーガンになることで、馬はもちろん、すべての動物を守ることができます。ヴィーガンはたった一人でできる、動物保護、動物権利、動物解放、環境保護活動です。
  • 動物解放団体リブを支援し、動物を守る活動を推進する

競馬の記事のURL

競馬業界の問題は、単なる娯楽の範囲を超え、社会全体に影響を及ぼしています。官僚や政治家、メディアといった大きな力が絡み合うこの構造は、一朝一夕で変わるものではありません。しかし、動物の権利や倫理的な視点からの再考が求められる中で、競馬の現状を知り、問題意識を持つことが変革の一歩につながるはずです。競馬に対する私たちの視点を問い直すことこそが、より公正で倫理的な社会を築くための第一歩となるでしょう。

動物を解放しよう。

この記事を書いたライター

リブ_シンボル

動物解放団体リブ編集部

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