活動家のキャリアは、もっと真剣に考えられるべきテーマであり、日本の動物擁護活動の発展にとって最重要テーマの一つですが、日本ではまだほとんど議論されていないようです。
学生時代には盛んに活動していた人が、普通の会社に就職し、活動を止めてしまうことも多々あります。活動家としてのキャリアが存在するということは重要であり、私たちはそれを作っていかなければなりません。ここでは、どのようなキャリアがあるのか一緒に考えてみましょう。
活動家のキャリアの分類
活動家のキャリアを、ここでは大きく「開始期」、「個人のキャリア」、「組織でのキャリア」と分類します。
以下ではそれぞれについて説明します。
活動開始期
活動開始期は、自分を知り、勉強や経験を積み、自分がやりたい活動、やるべき活動を探す時期です。
自分を知るためには、先にお勧めしたSWOT分析などのフレームワークを使うのが良いでしょう。
勉強に関しては、動物解放アカデミーが最適です。リブの読書会やワークショップに参加するのも役に立ちます。
経験は、誰かの活動に参加することによって積むことができます。また、動物擁護や社会運動関連の本や論文などを読むこともおすすめです。
その上で、個人として活動を行うか、組織のメンバーとして活動を行うかを決めていきます。
個人のキャリア
個人として活動を行う場合
自分がやりたい活動を自由に行います。企画書のところでも触れましたが、大事なのは、自分が行った活動を評価することです。事業が終わったら、必ず、メンバー全員で評価し合いましょう。自分の活動を客観的に評価できる能力を身につけないと、自分に酔いしれたり、独善的になったり、傲慢になったりしてしまいます。
活動を評価することで、螺旋的に向上し続け、活動も人間性もレベルアップしていきます。
個人活動家では満足できなくなったら、組織に参加する、組織を設立する、起業を行うなどの道もあります。
組織でのキャリア
団体に参加する
組織のメンバーとして活動を行う場合、自分が行いたい動物擁護活動分野の団体に参加します。第2章 動物擁護活動の分野をご参照ください。それぞれの団体は、目的や大切にしている価値観、組織文化、活動戦略が異なります。自分の価値観と照らし合わせて団体を選ぶのが良いでしょう。団体ではボランティアやプロボノ、スタッフやアルバイトなどを募集していることがあります。まずはそこから関わって、よければより本格的にチームに参加するのも良いでしょう。
団体を設立する
自分がやりたいことをやっている団体がなければ、自分で団体を設立することもできます。日本には団体レベルで取り組むべき分野が、たくさん残っています。例えば、両生類、魚類、無脊椎動物、漁業、養殖、動物を戦わせる娯楽などです。
団体の種類は、任意団体、一般社団法人、NPO法人など様々な形態があります。その時々で適切な形態を選択します。まずは任意団体を立ち上げるのが通常です。活動や組織が拡大していくと、法人化すべきタイミングが来ます。
社会的起業をする
社会に良い影響をもたらすために起業することを、社会的起業と呼びます。
ヴィーガン関連市場はこれから必ず成長していきます。西欧では着実に成長しており、どこのスーパーに行っても豊富なヴィーガン製品があり、ヴィーガン専門のスーパーさえあります。
金融に関して言えば、海外の投資信託(ファンド)では、ヴィーガン企業の株だけをあつかう商品があり、右肩上がりで伸びています。
今の日本では、起業をする人へのサポートが驚くほど充実しています。各地で、地方公共団体や商工会などが主催する、無料相談会、無料セミナー、起業塾、補助金など、豊富なサポートを受けることができます。ご興味ある方は「起業 支援」と検索してみてください。
海外の団体に就職する
語学ができれば、海外の団体で働く道もあります。これまで多くの日本人が海外の団体で働いてきましたし、今でも働いています。
まとめ
活動家のキャリアは、日本の動物擁護活動において非常に重要なテーマであり、その発展のためには多様なキャリアパスを考える必要があります。
活動開始期では自己理解を深め、知識と経験を積むことが求められます。個人のキャリアでは、自主的に活動を評価し続けることで成長を促進できます。一方で、組織でのキャリアには、既存の団体に参加する方法や、自ら団体を設立すること、さらには社会的起業を通じて社会に貢献する方法があります。日本においても、動物擁護活動を推進するためのキャリア形成が進められることで、より多くの人々が参加し、効果的な活動が行われることが期待されます。このように、活動家としての道を真剣に考え、実践していくことが、動物たちのために大きな力となります。
あなたに合った活動を探したい人、活動を始めたい人、まずは動物解放アカデミーで学ぶことをお勧めします。