日本でも動物解放のために活動する人が増えました。
自分が、動物のために動く事が出来ているという事実は、それだけでも私達のパワーになります。
一方、この活動は、しばしば大きな精神的ストレスを伴います。10年・100年単位の長期間の運動であること、日々目にする辛い現実、進展が遅く分かりにくい事などは、「燃え尽き症候群(バーンアウト)」や他のメンタルヘルスの問題を引き起こすリスクがあります。
この記事では、動物解放活動家が直面する特有のストレスや精神的な辛さを理解し、燃え尽きを防ぎ、持続可能な活動を続けるための方法に焦点を当てます。
まだまだヴィーガンが少ないこの世の中で、貴重な活動をしているあなたには、ぜひ少しでも持続可能な形で活動を続けてほしいという思いでこの記事を書きます。
燃え尽き症候群(バーンアウト)をできる限り避けよう
厚生労働省によると、燃え尽き症候群(バーンアウト)とは、「それまでひとつの物事に没頭していた人が、心身の極度の疲労により燃え尽きたように意欲を失い、社会に適応できなくなること」と定義されています。
動物解放活動家の場合は、活動を一生懸命行っている中で、あるときパタッと無気力になったり、無力感にさいなまれたり、自己嫌悪に陥ってしまったり、周りの人と人間関係が悪化してしまう場合などがあります。
ちなみに、メンタルの問題や燃え尽き症候群を経験する事は、決して活動家の勲章ではありません。(つまり、燃え尽きるまでやっていない私は一人前ではない、という考えは誤りです。)
ここで重要なのは、これらのメンタルヘルスの問題は、活動家にとって避けられない宿命ではないということです。適切な知識と対策によって、活動家は自身の精神的な健康を守り、ストレスを管理することができます。
ストレスの根本原因を、一歩ずつ解消しよう
燃え尽き症候群や精神的ストレスの解決法を探るために、まずはストレスの原因を認識してみましょう。
ストレスの原因例
- 自分に合わない種類の活動を行っている
- 多くの事をやろうとしてしまう
- 十分な休息を取れていない
- 断れずに苦労してしまう
- 完璧を求めてしまう
- 孤独に活動をしている
- ゴールが見えず、自分の活動の意味がないと感じる
- 有害な環境、グループで活動をしている
- 動物解放活動以外の問題で疲れてしまっている
など
他にも、原因に関係することとしては、動物解放活動は受益者と言語コミュニケーションを取ることができないことも挙げられます。
人間に対する支援活動は、「ありがとう」「活動が役に立った」などの意見をもらうことが可能ですが、動物の場合はそれが難しい事で、自分の活動の意義が見出せなくなったり、モチベーションの維持が難しくなる場合もあります。
いずれにせよ、まずは自分のストレスの原因を見極めることが大切。
ひとつずつ、原因を解消してみる
その次に、その原因を一つひとつ解消していきましょう。
例えば、自分に合わない活動をしていたら、無理せずに他の活動にも目を向けてみる。
完璧を求めて自分の欠点ばかりに目が向いてしまうなら、例えば、日々の日記で「達成したこと」や「良かったこと」を書き出すようにしてみる。
言うは易く行うは難しですが、ほんの少しの変化を積み重ねることで、あなたのストレス原因は少しずつ解消されるはずです。
そして、それは長期的にあなたの個人的な幸福度を上げる事はもちろん、より効果的で持続的な活動にも繋がります。
次のパートからは、根本原因を解消するのと並行して行うことができる、「心の土壌づくり」について、二つのパートに分けてご紹介します。
心の土壌づくり:持続可能な活動を取り入れよう
私たちは、毎日生きるために食事や睡眠をとりますよね。そうすることでエネルギーをチャージしています。
それと同様、持続可能な動物解放活動をするためにも、エネルギーチャージが必要です。
その方法は、大きく分けて二つ。
一つは「日々のセルフケア」、
二つ目は「仲間との繋がり」です。
1.日頃から取り入れたい「セルフケア」
まず、活動家は自分自身の限界を理解し、自分を尊重することが重要です。無理をせず、定期的に休息を取ることで、心身のリフレッシュを図る必要があります。短期間の休息は、長期的な活動の効率を高めるために役立ちます。
セルフケアの例
- 疲れてからではなく、常日頃から休みの時間を設ける
- 十分な睡眠、栄養の摂取、運動などの基本的な生活習慣を整える
- 趣味や遊びの時間を設ける
- ゆっくりお風呂に浸かる日を作ってみる
- セルフケアリストを作成し、いつでも見える所に置いておく
- 遊ぶ時は、活動のことを一旦忘れて、思い切り楽しむ
- リラックスできる呼吸法を実践してみる
など
上記に加えて、いくつかポイントをお伝えします。
月経がある方は、ご自身の体調のサイクルを記録・把握するだけでも、心が楽になることがあります。月経前や月経中は、眠かったら寝て良い、温かい服装でホットティーを飲むなど。ご自身の体調に合わせて「今日は活動を休もう」と決めるのも良いと思います。
また、更年期症状がある方は、気分転換を心がけたり、必要に応じて受診したり、新しい自分を認めてあげる、なども有効だと言われています。
また、活動家の中には「動物が苦しんでいるのに、自分が楽しく遊ぶ事が後ろめたい」と思う方もいると思います。その気持ち、とても分かります。ですが、活動家としての持続可能な活動を行うためには、自分自身の心の健康も大切にする必要があります。自分を労わり、リフレッシュする時間を持つことは、自己中心的な行為ではありません。むしろ、これは長期的な視点から見て、より効果的な活動を行うために必要なことです。もちろん、あなた個人の幸せのために、とても大切なことです。
最後に、必要な場合は、心理療法やカウンセリングを含む専門的なサポートを利用することも検討してください。プロの助けを借りることは、メンタルヘルスの問題を解決するための強力な手段であり、活動家がセルフケアを適切に行うために役立ちます。
そして、セルフケアに加えて、仲間とのつながりがメンタルヘルスにも大切です。
2.支え合うコミュニティ:仲間とのつながりを強化する
動物解放活動は、時には孤独で困難な場合もあるでしょう。しかし、信頼できる仲間とのつながりは、大きな支えとなります。共感的なコミュニティを築くことは、メンタルヘルスのサポートと活動の持続性に重要な要素です。
まず、同じ目的を共有する人々と繋がる機会があると良いでしょう。例えば、地域のミーティングやオンラインイベントへの参加など。他の活動家との交流は、共感を得ること、経験を共有すること、そして共通の課題に対する解決策を見つけることにも繋がります。
リブは、ヴィーガンを支える事業として、コミュニティづくりを始めています。不定期にオンラインカフェやお悩み相談会、読書会などを開催しています。
また、動物解放活動家の育成とネットワーク構築の機会の提供を目的とした「動物解放アカデミー」も開催しています。
ぜひ、ヴィーガンの方や活動家のみなさんは有効活用してください。
また、動物解放活動家を支えるためのこれらの取り組みを支援してくれる方も募集しています。
支え合うコミュニティは、動物解放活動家が直面するメンタルヘルスの課題に対処するための強力な手段です。仲間とのつながりを強化することで、活動家たちは感情的なサポートを受け、活動に対する意欲やモチベーションを持続させやすくなります。
以上、動物解放活動家のメンタルヘルスというテーマで、持続可能な活動で燃え尽きを防ぐ方法をお伝えしました。
まだまだヴィーガンが圧倒的少数派な現代で、自身のメンタルヘルスを健康的なものに保つためには、意識的に心身のケアをすることが大切です。
1人でも多くの活動家が、つらい思いをせずに過ごしてくれることを願い、リブではこれからも活動をしていきたいと思います。