実は、ゾウは非常に社会的で仲間想い。
ボディーランゲージ、匂い、ジェスチャーなど、様々な方法で豊かなコミュニケーションをとります。
一方で、動物園のゾウたちは、本来過ごしていた自然から切り離され、家族や友人とも引き離され、ストレスを抱えています。
それだけでなく、ショーやゾウライドの裏側では、ブルフックでゾウの皮膚を引っ掛けたり、叩いたりする方法や、ドリルで突き刺す方法がいまだに行われています。
本記事では、日本全国283か所の動物園・水族館を実際に訪れ調査した、NPO法人動物解放団体リブが、特にゾウの調教に使用されるブルフックとドリルという道具について、解説します。
ブルフック・ドリルとは
「ブルフック」は、動物園の象使いが、ゾウの調教に使用する道具のこと。
長い棒の一端に、金属でできた鋭いフックが取り付けられています。
動物園やサーカスは、ブルフックやドリルでゾウに身体的・精神的な危害を与えることで、ゾウをコントロールします。
一部の動物園ではブルフックという言葉を使わず、「手カギ」「調教棒」とも呼ばれています。
また、ブルフック以外にも、ドリルも使われています。
ブルフックやドリルでゾウに与える身体的危害
ブルフックやドリルは、ゾウの体の敏感な部分に使用されます。
例えば、耳の裏、目の周囲、腹部などの、皮膚が非常に薄い部分。
他にも、頭、口の周囲、鼻、胴体、足など、ゾウの体の敏感な部分を刺し、痛みを引き起こしたり怪我を負わせたりします。
リブが実際に調査で訪れた施設では、「ツボを押している」と表現していました。
しかし、ゾウの皮膚は、体に止まっているハエを全て把握できるほど非常に敏感で、豊富な神経を有しています。
ブルフックの使用は、ゾウに対して非常に大きな痛みを与えているのです。
ブルフックやドリルでゾウに与える精神的危害
ブルフックは、ゾウに以下のような精神的なダメージも与えます。
- 恐怖とストレス
- トラウマ
- うつ病と無気力
- 異常行動
- 自然な行動の抑制
- 他のゾウへの影響
身体的虐待によって、ゾウは恐怖やストレスを感じます。
それにより、トラウマやうつ病、無気力状態になることが確認されています。
また、動物園やサーカスのゾウは、異常行動を起こすことで知られています。多くの場合、目的を持たない反復行動である「常同行動」が行われています。これらは、あらゆるストレスによって、精神疾患が行動に現れたものです。
異常行動は、ただ施設に閉じ込めることだけでも発症します。
しかし、ブルフックやドリルの使用や、殴る蹴るなどの身体的暴力が加わると、さらにトラウマや異常行動を起こしやすくなります。
また、ゾウは非常に社会的であるため、ゾウへのブルフックの使用は、周りのゾウに対しても精神的な負の影響を与えます。
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ブルフックやドリルを使用している日本の動物園
リブが日本全国の動物園を調査したところ、少なくとも以下の10施設でブルフックもしくはドリルの使用が確認されました。
- 岩手サファリパーク
- 東北サファリパーク
- 那須ワールドモンキーパーク
- 市原ぞうの国・サユリワールド
- 静岡市立日本平動物園
- 東山動植物園
- 神戸市立王子動物園
- とくしま動物園
- 日立市かみね動物園
- 沖縄こどもの国
ブルフックやドリルの使用だけでなく、
岩手サファリパークでは、ゾウ使いがゾウの脇腹を殴り、
市原ぞうの国では、ゾウ使いが立ち上がらないゾウを蹴り上げるのも目撃しました。
そして、ゾウライドで利用客が乗らないときはすぐに足に鎖を巻き、拘束します。
そうすると、ゾウはすぐに異常行動を始めます。
署名にご協力ください!
ゾウライドやショーは極めて非倫理的な行為であり、明らかな動物虐待です。
2016年、カリフォルニア州ロサンゼルス市議会では、「痛みを与えるように設計された」ブルフックのサーカスでの使用を禁止しました。
私たちは、日本においてもブルフックやドリルの使用を禁止するために、署名を集めています。
1分でできる署名に、ご参加ください。