娯楽に使われている動物

日本のゾウの異常行動~人知れず心を病んでしまっているゾウたちの現状~【日本全国調査】

  • 2024/02/01

ゾウは広大な土地を移動し、家族や仲間と一緒に生きる動物。

しかし、動物園の動物たちは、自然から切り離される、狭い空間に閉じ込められる、人から見られる、などのストレスにより、精神に変調をきたし、自然界では起こさない「異常行動」をとるようになります。

この記事では、日本全国ほぼすべての動物園・水族館・関連施設、計282施設に訪れ調査したNPO法人動物解放団体リブが、映像と共にゾウの異常行動を紹介します。

動物の異常行動とは

動物の異常行動とは、動物園や水族館等に監禁された動物たちに起こる、精神病の一種です。

英語では、Zoochosis(ズーコシス)と言います。

人間の場合、拘禁精神病、拘禁反応と呼ばれ、刑務所や精神病棟等に監禁された際などに現れます。

異常行動にも様々な種類があり、目的もなく同じ場所を円を描くように歩き続けたり、過剰に毛を抜いたり、プールの底に頭を打ち続けたり、自傷行為をしたりするなど、多岐に渡ります。

動物は野生で自由に歩き回り、社会的に交流し、一般的には豊かに過ごします。

その反面、動物園や水族館等では、家族や友人と引き離され、食も行動範囲も全てコントロールされ、人間に見られ続けます。その結果、動物は精神的苦痛を感じます。

詳しくはこちら:【保存版】動物の「異常行動」とは?動物園や水族館の動物のストレス・精神疾患について解説

日本のゾウの異常行動

日本一周調査を行って分かったことは、日本中のゾウ達が、精神を病み、異常行動をしていたことです。

具体的な事例をご紹介します。

富士サファリパークの事例

鋭い目、豊かなヒゲ、神々しいほどの雰囲気を漂わせたゾウ。

しかし、監禁され、異常行動に陥り、悲しい姿となってしまっています。

女性のゾウたちも、異常行動を起こしていました。

この動画で見られる異常行動は以下の通り。

  • ヘッドボビング|(head bobbing)頭を上下に動かす
  • スウェイング|(swaying)頭を左右に動かす
  • トランクスウィンギング|(trunk swinging)ゾウ。鼻を揺らす。
  • ロッキング|(rocking)体を揺らす。ロッキンチェアのような動き。

よく観察すると、動物たちの異常に気が付くでしょう。

遊亀公園附属動物園の事例

常同行動を続けるアジアゾウの「テル」は、1980年にラオスから遊亀公園附属動物園に連れてこられました。

このコンクリートで出来た狭いゾウ舎で生活し、一緒に連れてこられた「ミミ」が2000年に亡くなって以降、20年以上を独りで過ごしています。

テルは、異常行動(ロッキング、トランクスウィンギング)をしていました。

土や砂はほとんど無く、じぶんの糞尿を身体にかける行為もありました。

市原ぞうの国の事例

日本一周!動物園水族館調査」の北日本編で見たゾウの中で、一番ひどい常同行動でした。

何トンもある身体を、ぐわんぐわんと一心不乱に揺らし続ける姿は、異様で、怖いほどでした。

市原ぞうの国のテリー。1992年、インド生まれです。

2001年に市原ぞうの国に連れてこられました。

テリーは市原ぞうの国の一番奥の、さらに奥に監禁されていました。

「種オス」であり、市原ぞうの国のぞう、ゆめ花・りり香・もも夏の父です。

姫路市立動物園

姫子は1977年、タイ生まれ。

1994年に姫路市立動物園に連れてこられました。

25年もの間、たった一人で生きていました。※2020年に病気で亡くなりました。

調査時、姫子は常同行動に陥っていました。

現在日本で、たった一人で生きているゾウ、13人のうちの1人です(2020年現在)。

ゾウたちは、同じ境遇のゾウが13人いることを知りません。

会うことも無く死んでいくでしょう。

監禁場所は狭く、バックヤードにはブルフックがありました。

今の姫子は2代目だそうです。

最初の姫子は、40年間、鎖につながれっぱなしだったようです。

芸もさせられていたようです。

40年後鎖が外されたことに関して、姫路市立動物園のウェブサイトには、「歩く自由を与えられて」と書かれていました。

おびひろ動物園の事例

調査した中でも、忘れられない動物がいます。

その一人がゾウのナナ。

ナナは一日中、体を上下に振り続ける常同行動をしていました。

ナナは1964年、3歳の時に温暖なインドから、寒さの厳しい北海道に連れてこられました。

その後来た「ノン」が1996年に亡くなって以降、24年間、たった一人で監禁されていました。

誰にとっても人生は一度。

ナナもたった一度の人生を、56年という長い期間を狭い場所で過ごし、激しい異常行動を続け、2020年に59歳で亡くなりました。

上野動物園の事例

常同行動の一種である、トランクスウィンギングを行っていました。

上野動物園には、女性のゾウが3名(ダヤー、スーリヤ 、ウタイ)、男性のゾウが1名(アティ)監禁されています。(2018年時点)

※ダヤーは2021年に推定44歳で、悪性腫瘍で亡くなりました。

繁殖に使われ、流産し、あるいは小さいうちに子どもを失くし、日本各地に連れ回されています。

問題を解決するために

ゾウが心の病を抱え、異常行動をしている理由は、檻への監禁です。

動物を苦しませないためには、これから新しく動物を監禁しない、繁殖をしない、今いる動物は野生に帰せるように工夫し、帰せない場合は終生、最大限ストレスがかからないよう世話をすることです。

ゾウを解放するために、あなたにできること

動物を解放しよう。

関連記事:ゾウを支配するブルフックやドリルとは。日本で行われているゾウへの虐待

関連記事:市原ぞうの国・サユリワールドで起きているゾウへの虐待【調査報告】(アニマルワンダーリゾウト)

この記事を書いたライター

リブ_シンボル

動物解放団体リブ編集部

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