娯楽に使われている動物

動物の大量死を出している劣悪施設:龍野公園動物園【調査報告】

  • 2020/05/30
  • 2024/05/06

この記事はNPO法人動物解放団体リブによる、動物目線で動物園や水族館がどのような状況なのかを調べた「日本一周!動物園水族館調査」のレポート記事のうちの一つです。

龍野公園動物園は、過去5年間47匹もの動物の大量死を出している、異常なほど死亡率が高い動物園です。

2021年にテレビや新聞のメディアにも動物管理体制の在り方が取り上げられましたが、今だに運営を続けています。

ストレスで自分の尻尾を食べる:カニクイザルの異常行動

骨が剥き出しになっているしっぽ。

しきりに尻尾をいじっては、噛んで食べています。

どうしてこのような行動を起こすのでしょうか?

それは、施設に監禁され、人に見られるなどのストレスによって、心を病んでしまっているからです。

「コリコリ」と、骨を噛んでいる音が、撮影しているこちら側にも聞こえてきました。

このような自傷行動を、セルフカニバリズムといいます。

龍野公園動物園のカニクイザルは、自分の尻尾を食べるという異常行動を起こしていました。

尻尾が短くなっているサルばかり

その他のカニクイザルもしっぽが短く、赤く腫れていたりしています。

ここに閉じ込められているほとんどのサルが、ストレスを感じているのでしょう。

自分へ向かう異常行動は他にもある

自分に対して向う異常行動はこのような物があります。

  • 自傷  
  • 自分の毛を引き抜く。あるいはそれを食べる。  
  • セルフカニバリズム:自分自身を食べる  
  • 糞便を食べる  
  • 尿を飲む
  • うつ病  
  • 気絶、意識の喪失
  • 無気力状態:不快な状況を避けることをしない。 
  • 常同行動(ステレオタイプ):明らかな目的を持たない同じ行動を繰り返す。  
  • ロッキング(=ウィービング):繰り返し前後に振る、または左右に振る。   
  • ペーシング:同じ場所を同じ速度でグルグルと歩くこと(常同歩行)
  • 過度の発声 

動物園で、同じ行動をし続けている子を見ませんか?

奇声を発して、落ち着きのない子を見ませんか?

これらは、すべて異常行動の可能性が高いです。

ストレスで同じ場所をぐるぐると歩き続けるツキノワグマ

令和5年4月現在、高齢のため展示を中止しているツキノワグマですが、リブが調査に行った2019年の時点で、すでに異常行動を起こしていました。

虚ろな目に映るもの

私たち人間は、自由に移動し見たいものを見て、感動し目を輝かせているでしょう。

しかし、龍野公園動物園にいるツキノワグマの目には、変わり映えしない檻から見える風景のみしか映りません

そして、絶えず訪れる騒がしい人間たち。

その目は、絶望し諦めた虚ろな印象しかありませんでした。

人知れず異常行動を続ける

同じ場所をひたすら歩き回る常同行動をしていました。

常同行動は異常行動のひとつで、常に人に見られる環境にいたり、狭い場所に監禁され続けることで引き起こされます。

この行動には、何かの目的はありません。

ストレスにより、ただひたすら歩きまわる精神疾患です。

人間も、刑務所や精神病棟等に監禁された際に、拘禁精神病、拘禁反応と呼ばれる同じ症状が起こります。

動物も人と同じように、感情を持ち苦しみが現れます。

動物園や水族館には狂ってしまった動物ばかり

動物園や水族館は、人間が動物をコントロールします。

食事も住む場所や環境、そして家族さえも思い通りにできません。

自然とはかけ離れた狭い檻に閉じ込められ、常に人の目にさらされ、生きている希望もぬくもりも感じることができず、一生監禁させられます。

どんなに寂しくても、生涯一人で過ごさざるを得ない状況、多くの方は想像すらできないと思います。

劣悪な環境下で、足や顔がただれているチャボ

先に述べたカニクイザルやツキノワグマ以外にも、飼育環境の悪さが動物たちの見た目に現れていています。

ボコボコに変形した脚

チャボの脚です。

見た目にも、明らかに普通じゃないことが分かるでしょう。

ニワトリ疥癬症(かいせんしょう)のような症状に見えます。

ダニが寄生して起こる皮膚病で、土壌や周りの環境がそのままだと感染してしまいます。

重症になると歩行が困難になる病気ですが、龍野公園動物園にいるチャボはすでに重症であると言えるでしょう。

もし、ニワトリ疥癬症(かいせんしょう)なら治療法はあります。

しかし、治療がされることもなく放置されています。

頭や胸元のが禿げたチャボ

複数いるチャボの中に、毛が抜けている子がいました。

しかし治療も行われずに、3月の寒空の下に放置されています。

チャボはどうなったのか?

2023年現在、龍野公園動物園の動物一覧をみると、現在はチャボはいません。

代わりに、チャボがいた場所はウサギ舎だけになっていました。

チャボたちはどこにいったのでしょうか?

正式な情報は掲載されていませんでしたが、他の方のブログをみると2020年3月にはチャボはいなくなっていたようです。

リブが調査した翌年に、チャボが一斉にいなくなるのはとても不自然ですね。

こちらの詳しい情報が分かる方がいらっしゃったら、教えていただきたいです。

毛の禿げたクジャク

クジャクの首の羽がありません。

首元の地肌が丸見えになっているのが分かりますね。

環境のストレスによる心因的なものが影響している可能性があります。

自分の毛をむしるなどの行為も、異常行動のひとつとしてよく動物園で見られます。

杜撰な動物の環境

令和4年4月1日から月・水と年末年始が休園日に変更していますが、それ以前は年中無休・24時間ずっと開いている入園料無料で運営していました。

その間の運営はあまりにもずさんで、土日は飼育員はおらず、自動給餌機で1日一回の配給のみだったそう。

死因の原因の一つに栄養失調も特定されたそうです。

<これまで死亡した動物たち>47匹の内訳カニクイザル13匹・モルモット9匹・ヤギ4匹・アイガモ4羽クジャク、カルガモ、ガチョウ各3羽その他8匹
出典:産経新聞より(大量死を招いた動物園 5年で47匹の衝撃) 

異常なほどの死亡者が出ないと問題視されなかった、動物園の不十分な管理体制に心が痛みます。

死亡理由は老衰によるものも含まれますが、残る大半の死因は「不明」と、原因も明らかにされていません。

また、夜間は無人になるため不適切な来園者による被害に対処することができない状況や、寒さによる衰弱なども明るみになりました。

今もなお、運営を続けている龍野公園動物園に、一刻も早く動物を解放するように声をあげましょう。

動物のために、あなたにできること

・動物園などの動物を利用する施設に行かない

・周りの人にこの記事をシェアして、問題を伝える

動物利用問題をさらに学ぶ

・施設に対して意見を伝える

・リブへ支援をして、動物を解放するための活動を加速させる

日本一周 動物園水族館調査とは?

日本の動物園・水族館は、動物たちにとって良いところなのか、悪いところなのか。

様々な意見はあるものの、当初、日本全国の施設が実際にどのような状況なのかという網羅的な調査はありませんでした。

その課題を踏まえ、2018年から2019年、述べ9ヶ月に渡って、日本全国ほぼ全ての動物園と水族館、計283施設を周る調査プロジェクト「日本一周!動物園水族館調査」を行いました。

その結果、日本中で動物たちが精神病の一種である「異常行動」をしていることが確認され、動物たちが監禁下で人知れず苦しみ続けているという実態が明らかになったのです。

私たちが目指す社会

私たちのビジョンは、人間による全ての動物に対する抑圧や搾取がない、緑豊かで平和な地球。

動物たちは解放され、自然の中で自由に生き、愛し合い、子どもを育てています。

人類は動物たちをやさしく見守っています。

このような社会を実現するため、私たちは動物利用問題の解決に努めます。

動物を閉じ込めるのはもうやめよう。

感情もあり、苦痛も感じる動物を閉じ込め、見世物にすることは、動物へ耐え難い苦しみの生き地獄を強要することになります。

そして実際動物園は、動物への共感を呼び起こすどころか、動物利用を肯定する施設になっています。

本当に動物を尊重するならば、動物を捕獲・監禁しないべきです。

一人ひとりの意識を変え、真に動物に優しい社会を作りましょう。

補足情報

〔情報〕
種類:行政
所有:たつの市
運営者:〃
JAZA:〇

〔リブ情報〕
調査日:2019年3月13日
リブ調査ページ:https://animal-liberator.net/animal-liberator/190313-241-tatsuno
写真:https://photos.app.goo.gl/YmL3iCNwKgikRno39
動画:https://www.youtube.com/playlist?list=PLQT1RmSZIgCozUA1Mh4MBxZ5cgDc3NpSL

<参考>

動物園のサル5年間で13匹死ぬ

大量死を招いた動物園 5年で47匹の衝撃 

管理体制問われた動物園の飼育環境改善図る たつの市

5年間で47匹が死んだ市動物園、年中無休・24時間開放「やめる」

この記事を書いたライター

リブ_シンボル

動物解放団体リブ編集部

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